プロローグ
昔々…
神様が、大地を作った。
人を作った。
人は、文明を発達させた。
神様は、とても喜んだ。
しかし、人は、ある日突然、居なくなった。
一人も残っていなかった。
神様は、とても悲しんだ。
神様は、考えた。
そして、大地を幾千にも分けた。
そして、次の人を作った。
幾千にも分けた台地のたった8つのみに人を住まわせた。
ライル キール・ミール サレス ラピ トランバール ラジェスタ バーレイ ジェラファ
そして、大地と大地の間には、越えられない壁を作った。
これで…人は、居なくならない。
逃げる事も出来なければ、どこからか襲われる心配も無い。
温かい監獄を作った。
そして、神は死んだ。
すると、どこからとも無く霧に覆われた大地が現れた。
それは、人の大地に害を与える事も利益を与える事も無かった。
ただ、そこに存在した。
それが、グローレシア
これが、この世界の始まり。
「…うそっしょ?」
右端を歩く髪の長い子が真中の長身に尋ねた。
「…うそなの?」
左端を歩くセミロングも長身に尋ねた。
「確かめた事無いから知らない。」
長身は、先ほどまで喋っていた、この世界の始まりをはぐらかした。
「セルダ、中途半端〜。グラッドもそう思うよねぇ?」
髪の長い子は、左端に同意を求めた。
「知らないって嘘でしょ?」
グラッドと呼ばれた左端は、セルダと呼ばれた長身を見上げた。
「うん。嘘。けど、お前らもいずれ分かる事だと思うから、教えないよ。」
セルダは、ポンポンと両隣に居る二人の頭を叩いた。
「…何となくわかったかも…」
「えっ?僕、わからないんだけど。」
「グラッドもいつか思い出すんじゃない?」
「えぇ?思い出すの?」
「そうだよ。あんた、仮にも「リック、グラッド、着いたよ。ココが、その世界だ。」
セルダが二人に言うと、急にあたりから霧が晴れた。
「…何この、重い空気」
「これが、壁だよ。」
「人が居るんだね?」
「居るよ。向こう岸に沢山。」
同じ色の髪をした違う目の色の3人は、グローレシアの霧から出て来、そのまま、一番近い対岸に向かって壁へと歩みを進めた。
魔法も何も使わずに。
平坦な道を歩くように彼らは、壁の中を歩いた。